R1 改元のはなし
令和元年。
このパソコンで「令和」という文字を変換するのに少々手こずって早速苛ついたが、そんなことはまあどうでもよろしい。
平成初期生まれの長谷川にしてみれば改元というイベントは初体験なのだが、果たしてマスコミが大騒ぎするようなイベントなのだろうか。
「令和」という元号が発表された翌日から、朝の情報番組では日本中の「令和」を探し出してインタビュー。どうでもよすぎる。どうでもよすぎて白目を剥いてしまう。
世の中の令和にスポットを当てつつも、平成の30年を振り返る1ヶ月は淡々と過ぎていった。
4月30日。
ゴールデンウィークの10連休も4日目のその日、わたしは一泊二日で軽井沢に訪れていた。
初めての軽井沢!うっきうき~!のはずだったのだが、天気はあいにくの雨。軽井沢、超寒い。
しかし雨の軽井沢もこれまたおもむきがあっていい…と自分の中のロマンチックをフル稼働させる長谷川はとてもポジティブだったと思う。
霧に包まれた軽井沢でこれまたおもむきのある割烹料理屋を見つけ、上手い自家製梅酒でほろ酔いの長谷川。そこそこのホテルに戻り、テレビをつけると改元の瞬間を間近にしてこれまた浮かれるマスコミの様子ばかりだった。
ありがたいことに、改元で浮かれるマスコミと世の中の風潮はなんだかばかばかしいし滑稽だと思ってくれる恋人?パートナー?(おそらく)が一緒だったことは救いである。
日本の人々が和暦にどれほどの思い入れがあるのかは正直わからないし、あまり興味もない。
平成初期生まれのわたしにしてみれば、平成初期生まれだと言うたびに「え~!平成生まれ~!?」と昭和後期も後期生まれのすこし年上のやつらにマウントを取られたものだ。
平成初期生まれがもうアラサーだというのに、まだそんなことを言っている馬鹿者はいる。もしかしたら、令和になったことでその悪しき会話の流れは消滅したかもしれない。
軽井沢のホテルのテレビには、予想していた通りゴミのように人で溢れかえる渋谷の様子や、品川区役所で日付が変わるのを待っているカップルの様子。
のちに5月1日に籍を入れた地元岡山の友人に聞いた話だけれど、岡山城で婚姻届を受理するというイベント(先着50組)に350組近い申し込みがあったんだとか。
岡山だけでそんなにも結婚を控えているカップルがいることに、長谷川はとりあえず白目をむいた。
話はまた軽井沢に戻る。
ああ、もう数分で令和に変わる。
あと1分を切ったとき、あの超セクシージャーナリストの池上彰氏が1分で平成を振り返りはじめた。
(ああ!池上彰!超セクシー!Ugh!)なんて思いながらカウントは一桁に。
こんな風に年越しのテンションになることは目に見えていたし、もっと白けた気持ちになると思っていたけれど、せっかく改元のタイミングにパートナー(仮)が側にいるのだからよき思い出にするのは悪いことじゃないはず、なち、捻くれるのはおやめなさいよ、と心の長谷川が語りかける。
次の改元にお目にかかれるかどうかもわからないし、未来のことは誰にもわからないけどわたしはたしかに趣のあるロマンチックな(超寒い)軽井沢にいるしな、そうだな、と思った長谷川はパートナー(仮)の手を取り日付の変わる瞬間に接吻。
結局のところ、軽井沢にいたおかげですっかり浮かれていたようだ。
翌朝は無事雨も止み、浅見光彦記念館へ。
そしてそれを酷く楽しんだパートナー(仮)はその夜出張へ出かけて行った。
令和を迎えた東京は蒸し暑くて、翌日帰った岡山は冗談みたいに暑かった。
ゴールデンウィーク、10連休はさすがに勘弁してほしい。